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聖歌は生歌

聖歌は生歌

聖ペトロ 聖パウロ 使徒

【聖ペトロ 聖パウロ使徒の祭日】
 128 主を仰ぎ見て
【解説】
 詩編34は個人的な詩編で、内容的には《知恵文学》と共通する点が多く(特に12-15節)、構成は、同じアルフ
ァベットの詩編25に似ています。それは、ヘブライ語の第6文字が省略されていることや、最後の23節目がアルファ
ベットの配列外という点です。ちなみに、ヘブライ語のアルファベットは22文字ありますが、一字なくすことで、3組×
7節=21節となります。ユダヤ教では、3も7も完全数になるからです。表題は、サムエル記21:11-16にある物
語と一致しますが、詩編自体の内容はそれほど関連があるとは思われません。この曲では歌われませんが、9節に
「深く味わって悟りを得よ」ということばがあることから、特に、古代教会ではミサの会食(拝領)の歌として用いられて
きた詩編です。
 答唱句は、同じ答唱句(128)で歌われる詩編34の6節から取られています。全体は、八分の六拍子で流れるよ
うに歌われます。冒頭の四分音符の次の八分音符、すなわち「主を仰ぎ見て」の「あ」が、テンポを決定する鍵で、こ
れを含めた、連続する四つの八分音符「あおぎみ」で、テンポを持続させます。「を仰ぎ見て」の旋律の上昇音階と、
旋律が「て」を延ばしている間に「ぎ見て」と歌われるバスの上昇音階が、主を仰ぎ見る姿勢を表しています。さらに
「光を受けよう」で旋律が最高音C(ド)からG(ソ)へ下降することで、主から注がれる光を浴びて受ける様子を表しま
す。また、その「よ」を付点四分音符で延ばす間、テノールとバスが「受けよう」を遅れて歌うことで、光が輝く様子も表
されています。後半は、「主がおとずれる人の」で、バスとテノールがC(ド)を持続し、旋律は徐々に下降してゆくこと
で、主の光を受けた人の顔もこころも穏やかに落ち着いて輝くように、答唱句も静かに終止します。
 第三音E(ミ)から始まった詩編唱は、第二小節で、最高音C(ド)に達し、最後は属音のG(ソ)で終わります。和音
の開きが少なく、特にバスの音が高いので、全体的に響き渡るように歌われます。
【祈りの注意】
 解説でも書いたように、冒頭の四分音符の次の八分音符、すなわち「仰ぎ見て」の「あ」が、テンポを決定する鍵
で、これを含めた、連続する「あおぎみ」の四つの八分音符が、このテンポを持続させます。冒頭の四分音符の次の
八分音符をやや早めに歌うことが、答唱句を活き活きとさせます。この四分音符が間延びすると全体のテンポもだら
だらとしてしまいますので、そうならないように気をつけてください。旋律が「見てーーーーー」を八分音符5拍延ばす
間に、バスが「おぎ見てー」と、仰ぎ見る姿勢を強調します。混声で歌う場合でなくても、この「見てーーーーー」をしっ
かりと5拍延ばし、決して短くならないように、気をつけましょう。最高音C(ド)で歌われる「よ」は、乱暴にならず、胸を
開いた明るい声で歌うようにしましょう。後半は、旋律が徐々に下降してゆきますが、この間に、少しずつ dim. と
rit. して、穏やかに終わるようにしましょう。
 この祭日が、主日に優先して祝われるか、平日になるかで、歌われる詩編の節が異なることを確認してください。
主日に優先して祝われる場合、すなわち、日曜日になる場合は、1,2,3を歌いますが、そうでないときには、2と3
になります。
 第一朗読の使徒たちの宣教では、ペトロが牢から導き出される場面が読まれます。ヘロデによって捕らえられたペ
トロを、ヘロデはイエスと同じように、過越祭の後に処刑しようと企てます。ペトロ自身は、使徒団の一人でもあったヨ
ハネの兄弟ヤコブと同じように、主の名によって苦しみを受けることを覚悟していたでしょう。一方、弟子たちはペトロ
のために皆で熱心に祈っていました。ペトロも、殉教は覚悟していたとは言え、まだ、赤子のような教会を置いてゆく
ことは心配の種だったかもしれません。ですから、教会の礎がしっかりと固まるまで、ペトロが羊を導くために、神は、
ヘロデの手からペトロを解放してくださいました。
 教会は、使徒団あっての教会ですが、その使徒団も、教会=神の民の祈りがあってこそゆるぎない活動ができるこ
とを、今日の第一朗読は教えています。詩編唱も、そのような初代教会以来の伝統を祈る内容です。キリストが建て
られた教会は、頭であるキリストも、その代理として立てられた使徒団もいなければ成り立ちませんが、導くべき羊が
いなければ、また、神の民として機能しないと言えるでしょう。これは、まさに、神の民の秘儀なのです。
 詩編を歌う方は、この、互いに祈りあう、お互いのために大切なものを献げあう、神の民の秘儀を心に留めながら、
初代教会のすばらしさが、現代の教会にも実現され、受け継がれていることを、また、それによって、多くの人が、わ
たしたちがキリストの弟子であることを知るようにという願いを込められれば、すばらしいと思います。
【オルガン】
 まず、大切なことは、会衆の祈りが活き活きとなるような前奏にすることです。解説でも祈りの注意でも書いた、冒
頭の留意点を、オルガンの前奏でも具現するようにしましょう。オルガンの前奏が、ここでだらだらしては、会衆の祈り
が活き活きとするはずがありません。
 ストップは、祭日の答唱詩編ということや、答唱句の内容も考えると、かなり、明るい音色を用いてもよいでしょう。と
は言え、派手なものでもないことを考慮してください。


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